被相続人の遺言に従って
遺産分割が終わりました。
しかし、その後に
息子と名乗る者が現れたらどうなるのでしょうか?
基礎調査をした専門家が悪いのでしょうか?
つまり、
基礎調査の際に相続人を特定できていないことが原因なのでしょうか?
ネットでは
基礎調査が悪い という意見が多いですが、
実は
遺産分割後に子供、孫を名乗る者が現れることはありえます。
何故なら、
基礎調査で分かる相続関係は
婚姻を基礎としている からです。
婚姻手続をしていない男女間の子、つまり、
非嫡出子の有無は 基礎調査では分かりません。
だから、
非嫡出子がその父または母の事を知っていて
その父又は母が 戸籍上の家族に 非嫡出子の存在を知らせていない場合は
突然、 子 又は 孫 を名乗る者が現れた と感じてしまうことはあります。
非嫡出子に相続遺産を分けるかどうか?
非嫡出子を相続人として扱う条件は
非嫡出子が認知されていることが要件です。
認知には 以下の3方法があります。
①任意認知:
父親の方から任意に認知をする方法。
父親の生前であれば、
父親が自ら役所で「認知届」を提出することによって簡単に認知が成立します。
原則的な任意認知の場合、子どもや母親の同意は不要。
母親の妊娠中に認知するには、母親の同意が必要。
成人している子供を認知するには、子どもの承諾が必要。
②遺言認知:
遺言認知は任意認知の一種で、父親が遺言によって認知する方法。
生前に認知届を提出すると今の家族とトラブルになる場合などに利用されることがあります。
遺言認知をするには、
遺言書に「子どもを認知すること」が書かれていなければなりません。
また「遺言執行者」の選任が必須となります。
成人している子供を認知するには、子どもの承諾が必要となります。
③強制認知:
父親が自ら認知しない場合に、子どもの方から認知を求める方法。
まずは家庭裁判所で認知を求める調停を申し立て、
その調停が不成立となったときに、認知の訴えを起こします。
訴訟内でDNA鑑定などによって父子関係が確認されると、
裁判所が認知を成立させてくれます。
死後の強制認知:
父親の死後に子どもが認知請求すること。
ただし父親はすでに死亡しているので、検察官を請求相手とする。
死後認知の訴えを提起できる期間は「父親の死後3年」のみ。
3年を過ぎると認知請求できない。
死後3年経過していたら、
DNAで父子関係が概ね認められても、遺産を相続できない。
認知の効果:
認知がなされると、
認知された子の出生の時にさかのぼって、その効力を生じる(民法784条)。
したがって、出生の時から、認知した父との間に親子関係があったことになる。
なお、その場合でも、
第三者がすでに取得した権利を害することはできない(民法784条但書)。
民法910条には、
「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、
他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、
価額のみによる支払の請求権を有する」との規定があり、
これは、
既に 他の相続人が 遺産を他人に譲渡していたら、
その他人からその遺産を取り戻して、改めてその遺産を分割することはダメ、
その他人から遺産相当額の金銭を受け取っていれば、その金銭を分割することはOK、
という意味になります。