先日のYahooニュースに
『無料のまかないは違法』
という記事タイトルがありました。
誇張した記事でしたので
信じる価値はあまりなかったので、
詳細は語りませんが、
社労士の視点からも紹介したい点があったので
社会保険・労働保険に関してのみ以下にて説明しておきます。
社会保険・労働保険の考えでは、
通貨以外のもので支払われる労働の対価は 現物給与 として扱います。
現物として支給される食事は、
現物給与価額(=支給した食事を金銭に換算した価額)
として扱われ、
いくら相当として扱うかは 年金事務所のホームページにて公開されています。
(都道府県によって 換算額が異なります。)
例えば、令和6年度において
北海道の 1人1日当たりの食事の額は 770円 を上限とします。
(朝食190円 + 昼食270円 + 夕食310円 = 770円)
(1月最大23,100円となります。)
(※因みに、会社から現物として支給される無償住宅の場合は、
1人1月当たりの住宅の利益の額は 畳1畳につき 1,110円として
住宅の現物給与価額を換算します。)
例えば、北海道で働くとある労働者の月給が180,000円で
会社から毎日食事の提供を受けている場合は、
203,100円 (= 180,000円 + 23,100円)
を固定的賃金として取り扱わなければなりません。
つまり、180、000円ではなく、
203,100円で標準報酬月額が決定されるので
その分 社会保険料が高くなります。
本人負担の雇用保険料も高くなります。
上記の考えが原則なのですが、
現物支給の食事に対しては、例外があります。
労働者が 提供される食事代(相当額)の 2 / 3 強を支払っている場合、
即ち 前述の例では
1日につき520円以上支払っている場合は、
現物給与価額(=支給した食事を金銭に換算した価額) = 0円
と扱うことができますので、
180,000円 (= 180,000円 + 0円)
を固定的賃金として取り扱うことができます。
つまり、追加的な社会料負担はありません。
無料食事付き だけど 社会保険料・雇用保険料が増えるケース と
有料食事付き だけど 社会保険料・雇用保険料が増えないケース があるわけです。