「今日で辞めます」は法律上許される?(参照元 ネット記事)
ケーススタディ:
飲食店経営者が
契約社員の接客態度や勤務態度の悪さを注意したら、
「働くのが嫌になったので今日で辞めます」と逆ギレされ、
その従業員は仕事を放棄し、
退職願を書いて そのまま帰宅してしまった。
元々 この飲食店の社員は2人しかいなかった。
帰宅してしまったために、
その日の予約はすべてキャンセルせざるを得なかった。
質問1
一方的に退職願を提出し、帰宅した従業員の行為は
法律上許されるのか?
質問2
一方的に帰宅されたために
当日の予約をキャンセルせざるを得なくなったため
利益を得られなかった。
飲食店経営者が その従業員の仕事をせざるを得なくなり、
経営者としての仕事ができなかったために
経営者としての利益を得られなかった。
新たに採用活動せざるをえなくなり
採用活動費がかかってしまった。
これらの金銭的な損害を請求できるのか?
管理人の個人的返答1
契約社員と書いているので、
まずはどのような契約だったのかを知らなければ
判断できません。
一般論として
期間の定めがある雇用契約であれば、
その有期雇用契約期間が1年未満かそれ以上かで
期間途中内の辞職が有効かどうか判断することになります。
1年未満の有期雇用契約期間を労使が取り交わしているならば
労使ともにその有期期間中はその雇用契約を順守する義務がありますので、
当日に退職願を提出したから退職というわけではありません。
従って、上記の前提であれば
一方的な 債務不履行と言える可能性はあると思えます。
その意味で 法律上望ましくない とはいえる可能性はあります。
管理人の個人的返答2
たくさん書いているので 個別に検討してみます。
(あくまで管理人の個人的感想に基づいて検討しています。)
Q.一方的に帰宅されたために
当日の予約をキャンセルせざるを得なくなったため
利益を得られなかった。
その分の金銭的な損害を請求できるのか?
A.金銭的損害の請求は難しいだろう と思慮します。
遺失利益を証明することが簡単ではありません。
飲食店なので 食材を仕入れていた。
キャンセルしたから食材を処分せざるを得なかった。
と経営者は主張するかもしれませんが、
一般人は
日持ちしない食材ってなんだよ
って思うのではないでしょうか。
当日 使わなかったとしても
翌日 使えれば、無駄になってませんので、
仕入れを損害と主張するのは難しいと思われます。
経営者は
特別な食材で、特別なお客様だった と言うかもしれませんが、
そんな特別なお客様だったなら、
接客態度や勤務態度が悪い契約社員が
その特別なお客様を不快にさせないように
もう一人の社員に出社してもらっておくべきでしょう。
そもそも
契約社員の接客態度や勤務態度の悪さを注意したら、
「働くのが嫌になったので今日で辞めます」と逆ギレされ、
その従業員は仕事を放棄し、
との前提ですが、
逆ギレ という表現もまた 経営者の一方的主観です。
その契約社員が
経営者からのハラスメントに苦しんでいた
から 自己を守るために逃げ出した
と主張してきたら
経営者の方は反論できる準備があるのでしょうか?
一般人がこのネット元記事読んで 違和感を感じるのは
「経営者 と 従業員2名しかいない飲食店 に 大量な予約客がある?」
という点ではないでしょうか?
社員の人数少ないのに、 利益追求で 無謀な大量予約にも対応しようとして
社員に負担をかけていることが常態化していて、
経営者が 社員の事を「ウスノロ。さっさと働け。」などと
常日頃言っていたならば、
社員が不満を募らせていたのではないか?
知らんけど。ありえない話では無いですよ。
読者さんのお近くの飲食店や飲み屋さんでもありません?
客の数より、圧倒的に 店員が少ない店とか。
先日 管理人が行った飲み屋、
食べ放題コースだったのに、 注文は1人2皿ずつ、とのこと。
食べ終わって、皿を空にして、そこから注文するから、
時間がとてもかかる。
食べ放題なのに満腹にならない飲み屋。
もう行かない。
Q.一方的に帰宅されたために
飲食店経営者が その従業員の仕事をせざるを得なくなり、
経営者としての仕事ができなかったために
経営者としての利益を得られなかった。
A.金銭的損害の請求は難しいだろう と思慮します。
経営者としての利益って何かを証明することが簡単ではありません。
Q.新たに採用活動せざるをえなくなり
採用活動費がかかってしまった。
その分の金銭的な損害を請求できるのか?
A.金銭的損害の請求は無理 と思慮します。
採用活動費は経営上当然に発生する費用ですので、
辞めた社員が負担する費用ではありません。