社員が取引先の社員と恋愛している様です。
ケーススタディ:
当社は調剤薬局です。
当社の薬剤師が、
薬の卸会社の営業社員と恋愛関係にある様です。
当社の薬剤師は未婚者です。
薬の卸会社の営業社員は既婚者です。
しかし、その営業社員はその会社の社長の息子さんです。
その卸会社との取引が
当薬局の7割を占めているので
当社の薬剤師と営業社員の恋愛関係が
もし破綻したら
当薬局とその会社の取引も終了してしまうのではないか
と心配しています。
恋愛当初
薬剤師は相手が既婚者であることを知っていたようです。
薬剤師が相手に好意を求めて、
既婚者であることを知った上で交際が始まったようです。
質問1
薬局経営者の私は
自社の就業規則に 取引先との恋愛禁止条項を規定することは
可能でしょうか?
質問2
就業規則に 取引先との恋愛禁止 条項が明記されているにも拘わらず
取引先と恋愛関係になり、その後破局して
取引先との取引も破綻した場合、
当薬局は 自社の社員に損害賠償を請求することができますか?
質問3
就業規則に 取引先との恋愛禁止 条項が明記されているにも拘わらず
取引先と恋愛関係になり、その後破局して
取引先との取引も破綻した場合、
取引先に損害賠償を請求することができますか?
管理人の個人的返答1
一般論として
自社の就業規則に 取引先との恋愛禁止条項を規定することは可能です。
常時10人以上の従業員が属する事業所は、
就業規則を作成し、
労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、
所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません
ので、該当する事業所であれば、
届もきちんとしてください。
就業規則の内容に
労働者、労働組合、過半数代表者等が反対しても
就業規則は届出ることができます。
管理人の個人的返答2
難しいと思われます。
原則として、恋愛の自由は日本国憲法で保障されている と考えられています。
就業規則で憲法で認められている人権を否定することはできません。
就業規則で 取引先との恋愛禁止条項を設定しても、 中々有効とは評価されません。
しかし、
日本国憲法で 不倫の自由が保障されている とは解されていません。
といっても、
不倫は刑法に規定されていないので、
根拠となる法に違反するという話にならないので、
不倫しても捕まることはありませんし、刑法上違法と認定されることもありません。
頭の良い人(例えば 弁護士)は、不倫しても犯罪じゃない と
いう刑法に規定されていないという事実を元に 不倫しているのかもしれません。
なお、配偶者が不倫をした場合、
刑法上の法律では裁くことができませんが、
民事上の法律(主として 民法709条)を主張して、
損害賠償を請求することができる場合があります。
しかしここで、薬局は
配偶者ではないので、この不法行為に基づく損害賠償請求権を主張できる
とは思えません。
また、そもそも
恋愛が破局したから 薬局との取引が破綻した
という事実の証明は可能なのでしょうか?
逆に 卸会社から
「薬剤師と恋愛に至る前に 本当は契約解除したかったのだけど、
薬剤師と恋愛していたから 解除をしなかった」
と反論されたら 薬局経営者は何と答えられますか?
また、薬剤師の方に
「私は 薬局との取引継続を繋ぎとめるためにも不倫していた。
私の不倫によって継続できた取引できたのだから
その分の利益を、薬局こそ 私に支払え」
と請求されたら 支払いますか?
損害賠償訴訟を起こすことは簡単ですが、
相手からも反訴される可能性はきちんと考慮すべきだと思いますよ。
管理人の個人的返答3
難しいと思われます。
本件においては、
積極的に 不倫状況を創出したのは薬剤師のようなので、
反対に
卸会社から損害賠償請求されないことを祈った方がいいのではないでしょうか。
卸会社の社長からしてみたら
自分の子供に不倫させた
憎い薬剤師が務める薬局
なのかもしれません。
そんな憎い薬局と将来にわたって
取引しなければならない
という法律も無いでしょうから。
本記事はあくまで個人的見解です。
管理人の意見と読者の意見が異なることは当然ありえることです。
意見が異なるときは
是非 あなたの意見も教えてください。
一緒に よりよい解決案を見つけ出せたら嬉しいですね。